

春が旬のあさりは旨みが強く、和、洋、中華と料理ジャンルを問わず用いられています。その栄養素は、魚介類としてはたんぱく質がやや少な目であるものの、ビタミンB12が含まれていて、これは貧血予防に役立ちます。また、栄養ドリンクで有名になったタウリンも豊富に含んでいます。このタウリンは、疲労回復や血液サラサラ効果が期待できると言われていて、夏に向かう前に疲れにくい体にするのにはぴったりです。そんな優れたパワーを持ったあさりには、さらに水を浄化するという機能が備わっています。あさりを買ってくると食べる前に一定の濃度の塩水につけて砂だしをしますが、この外から水を吸って吐き出す過程で、不純物などをろ過して水質をきれいにすることが調査によってわかっています。その量ですが、中サイズのあさり1個でなんと1時間あたり1リットルもの浄化をするそうです。この機能を活かして、養殖とともに、干潟事業なども広く行われていて、川と海の境目で海が汚れるのを小さなあさりが防いでくれています。

冬になると旬を迎え一層美味しくなる大根。煮物やふろふき大根、おでんなど寒い時期にぴったりの食材です。さてこの大根の色は?というと多くの方が白だと思われるのではないでしょうか?実は大根自体は白い色素を持っておらず、無数の細胞や層に含まれる空気が光を乱反射させて白く見えているのです。真っ白い大根を、煮たり、すりおろしたり、水にさらすことで透明になっていくのは、調理することで層の空気部分に水分が入っていって光の反射が抑えられるためで、ちょうど霧の時に視界が白くなり、雨や、むしろ水中の方が透明度が高いことに似ています。手を加えることで、白から透明に変わっていくのは大根からの美味しく食べられますよ、というサインかもしれませんね。しっかりと出汁の色がしみ込んだ厚めの大根に箸をいれるとすっと切れて、口に含むと汁があふれて…と想像するだけで体が温まり、冬の楽しみが広がりそうです。

伝統的なおせち料理の一つである伊達巻は、普段の食卓ではめったにお目にかからないくらい「おめでたい」「華やかな」印象をもったお正月の玉子料理と言えます。名前の由来は伊達政宗公が大好物だったという説がありますが、政宗公の時代にはまだなかった料理だったようで、通常の玉子焼きよりも華やかな雰囲気が派手を表す「伊達」の名前が付けられた理由のようです。この独特の形状はなんとロールケーキが原型になっているともいわれています。江戸時代に長崎に伝えられたポルトガルの「トルタ・デ・ラランジャ」というケーキがそれにあたり、これはオレンジを加えたシンプルな生地をロール状に丸めたものだったそうで、まさに今でいうロールケーキ。すり身を加えてふわっとさせた生地もいわれてみればスポンジ生地のようです。人気のスイーツ、ロールケーキと伊達巻がつながっていたと考えると、食文化の歴史の中での結びつきや変化が感じられて楽しい気持ちになりますね。